June 30, 2004

タイラー・ハミルトン

「準備は整いつつある」[28 June 2004 VeloNews RiderDiariesより]

6月は少し忙しかった。ツール・ド・フランスの登りの下見をアルプスで始めるからだ。トレーニングキャンプは「クラシック・ド・アルプス」(*6/5)というワンデイレースに出場してちょうど終了になった。キャンプでは十分走り込んだから自分はこのレースに参加しないことにしたんだけれど。Phonakからはトップ10に4人の選手が入る健闘ぶりだった。チームメイトのオスカル・ペレイロが優勝したし、チーム全体にとっても大きな勝利になった。

だから翌日からスタートする「ドーフィネ・リベレ」にはいい雰囲気で臨めた。個人的な目標は自分自身をテストすることはもちろん、プロローグで機材を試したり、モンバントゥのタイムトライアルにトライすることだね。どちらの結果もOKだったし、スケジュールを少しも前倒しすることなく、自分のコンディションが必要とされるレベルまで来ているのも分かって良かった。春先のシーズン後にいったんコンディションを下げてからツールのために再度ピークをもってくるのは難しいね。ほとんどの選手がプロローグの時には100%じゃないからね。レースの間にコンディションが上がっていくのがいいね、だってレースは長いから。レースが進むにつれて強くなっていくのはもっともだ。そうじゃないと、最終週に苦しむことになる。自分のプランではスタートの頃は90-95%くらいで、最終週までに100%にもっていくつもりだ。どうなっていくかは知らせるよ。

今年のツールは大きく2つに分けられる。前半の10日間と後半の10日間は全く別物。厳しい山岳はレースの後半に集中していて、最後のステージは苦しみの連続になるだろう。多くの優勝候補たちがそれぞれの方針にそって走る。だから最終週のレースは広く開かれたものになるだろう。ファンとしては、今年ほど楽しみなツールは覚えが無い。選手としては、言わせてもらえば、ほとんどの歯はすでにかぶせてあるから安心だ。今年ツールに出場する選手は皆、すごい量の痛みを我慢することになるということを知っていると思う。でも、このことについてくどくどと書くつもりはない。

もしあなたがレースに間に合わなくて、だけど選手が苦しんでいるライブ映像を見たいなら、ビッグスクリーンで、タイラー・ハミルトン財団とリーガル・シネメディア、OLNが合同で第13ステージの生放送を提供する予定だ。第13ステージはピレネー山脈、プラトー・ド・ベイユへの山頂ゴールだ。ここはアルプスに先駆けて行われる最も難しい山頂ゴールになるので、見るべき素晴らしいステージになるはずだ。

ドーフィネの後は、イタリアに行ってコーチにカーペーサー(*車に一定の速度で走ってもらいその後ろを走る)をしてもらってトレーニングをした。彼はちょっと人使いが荒い。通常、妻にカーペーサーをしてもらう時には、自分の思った通りに速くしたり遅くしたりと、彼女に叫ぶだけだ。が、チェッコ(*コーチ)の後ろを走る時はペースは彼任せだ。彼はSRMモニターをスクーターに乗せて僕のデータを見るから、どう走ったかを正確に追跡することができる。ワット(*電力)、速度、心拍、ケイデンス(*回転数)を見ることができる。だから彼は僕の限界のタイミングを知っていて、限界ぎりぎりまで追い込むのが好きだ。6時間もまばたきなしでカーペーサーをすることがある。トレーニングの1つの締めくくりなので安全だと言えるだろうけれども、とにかく僕らはよく動いた。彼は信じられないくらい献身的なんだ。

今週スペインの家に帰るとちょっとした危機が起こっていた。愛犬のタグボートが近頃少し体調が悪くて、先週はほとんど動物病院で過ごさなければならなかった。はじめは、タグボートの腰の関節炎の炎症に高うする力が、まるで良くなってるかのように見えた。だが今は、確信がない。タグボートは良くなっているようだけれども、まだ100%ではない。明日は体内の検査をする予定で、うまくいけば病気になった理由をはっきりさせられるだろう。僕たちは胃潰瘍という診断になることを祈っている。胃潰瘍なら治療しやすいし扱いやすい。とりわけ明日の午後過ぎにはツールに出発する予定になっていたから、うちではストレスのかかる1日になるだろう。

ぼくたちのチームは2,3日早く北へ向かって、チームTTのコースを一緒に試走する予定だ。スタートの前にもう一度走る事はいつも重要だ。チームTTはトリッキーなできごとになりうるから、実際は知っておく事はいいことなんだ。

チームの最終選抜は多少腸をねじられるようなできごとだった。9人の枠に対して僕たちは10人だった。が、こういうことは僕が今まで走ったほとんどのチームであったケースだ。いつも最後の最後になって、電話でがある。今年はシリル・デッセルが漏れた。監督たちにとってもなんと難しい決断だったろうか。シリルは今春のけがから復帰してアルプスキャンプ、クラシック・ド・アルプス、ドーフィネ・リベレと強い走りをしていた。昨日(*6/27)のフレンチナショナルチャンピオンシップでは2位でフィニッシュさえした。シリルは本当に才能のある選手で、将来ツール・ド・フランスを何度となく走る選手になると確信している。

Phonakの出場選手は:オスカル・セビリヤ、オスカル・ペレイロ(OPと呼んでる)、ホセ・グティエレス(グティ)、ニコラ・ジャラベール(ニコ)、マルティン・エルミガー、サンティ・ペレス、ベルト・グラブシュ、サントス・ゴンザレス。

だからほとんど揃っている。この2,3ヶ月の間に、まるで100万もの細かい事、問題、決定を考え抜き、調査し、検討し、議論してきたみたいだ。が、やったことはやったこと。毎年言ってるけど、テストを受ける時間がきた。

読んでくれてありがとう。

投稿者 akemi : June 30, 2004 12:30 PM | トラックバック